積荷に凝る!
トラ30000+製材

トラ30000は俗に「長トラ」と称される無蓋車です。戦前製のトラ6000の後継形式で、こちらは製造当初から2段リンクの走り装置を装備しておりました。「長トラ」は12尺材(約3.6m)を2列積むのに十分な車体長を持っています。作例はアダチのホワイトメタルのキットを組立てたものです。積荷は製材にしてみました。

製材は1,5mm角のヒノキ棒を使いました。この寸法の材料は入手困難で、以前に模型店で入手してストックしていたものです。
木造住宅の柱材は普通、105mm角(3寸5分)か、120角(4寸)ですので、1/80にすると1.3mm角、1.5mm角です。しかし、現在一般に入手出来るヒノキ棒は、1mm角と2mm角ですが、それぞれ80角、160角で、帯に短し襷に長しです。
ヒノキ棒を45.5mm(3.640/80)にカットすること216本。結構な労力を要し、使用したヒノキ棒も900mmのが10本!下の1/3程はほぼ隠れてしまうので、上げ底としました。側面には押さえ棒を片側2本建てています。


さて、積荷の製材を固定するロープですが、毛羽立ちの少ないポリエステルのミシン糸を使います。ベージュ色の糸を、タミヤの墨入れ塗料(ブラック)にドブ浸けし、ティシュで拭き取る作業を二度程繰り返すと、使い込まれた風合いのロープの出来上がりです。この時代のロープはサイザイル製で径18mm、長さ30mです。国鉄が荷主へ無料で供用することになっておりました。


先ず車体下部にある逆T字形のロープ掛に玉結びします。ロープの一端を建て押さえた棒に絡め、積荷の隙間を通し、反対側の棒に結び、左右を引き締めます。更に柱の上端に結び反対の柱に固定。そして一端をロープ掛けに結びます。文章ではなかなか要領を得ませんが、上の作例をご覧ください。
製材は濡れたり、蒸機の煤煙がかかってしまうなどすると都合が悪いので、シート掛けされることが一般的です。しかし、せっかく苦労した積荷の大半が覆われてしまうので、あえてシートは掛けませんでした。